大阪経済大学 相原 正道 教授に聞く
<アーバンスポーツ×地域×デジタル論>

2016と2020の2度招致活動を経験した日本唯一の研究者であり、2021年文部科学大臣表彰科学技術分野理解促進部門受賞された相原教授。

スポーツマーケティングやスポーツ文化などに取り組み、アーバンスポーツの盛り上がりがまちづくりに活かされる可能性や展開など、早くから研究されている第一人者でもあり、CHIMERAのスポーツカルチャー推進委員として参加頂いています。

わたしたちCHIMERAが大切にしていることは、アーバンスポーツを単なる流行りの1スポーツジャンルに限定されるのではなく、ユニークかつ、奥行きのある「カルチャー」として捉えていること。その豊かな精神性や文化を出発点として、ボーダレスなアウトプットを提供することが、CHIMERAならではの提供価値だと考えています。

地域に求められるスポーツの在り方とは?
相原教授に聞いてみました。

 

Q:アーバンスポーツとメジャースポーツの違いは何ですか?

A:経済価値が一過性になりがちなメジャースポーツ

東京マラソンや国際的なサッカーなどの大会では、大きな経済効果が見込まれます。
しかしこうした効果は一過性になりがちで、経済格差のある都市部と地方では、同じ規模の効果は望めません。
卓球のTリーグやバスケットボールのBリーグなども同様です。
経済に価値をおいた視点では、規模や集客において、地域による不公平感が生じてしまいます。

みんなが満足するスポーツ活性化の方法はないのでしょうか?

 

Q:地方自治体でもスケートパークの設置などが進んでいます。どのような取り組みがまちづくりに活かされるのでしょうか?

A:アーバンスポーツでパーク化

東京オリンピック・パラリンピックで注目された都市型(アーバン)スポーツは日本を活性化させるために重要な役割を果たせます。
例えば、公園内にスケートボードやBMXなどの自転車競技を楽しめる場所があり、その横にフラダンス教室があり、さらにコンサートも開催できるような公園があればどうでしょう。
フランスをはじめとした海外には、すでにあります。
日本式の公共施設の枠を超え、集うみんなでルールを決めた「新しい公共」を実現し、パーク化させるのです。
ここではさまざまな世代同士の交流が期待できます。
スポーツは、そうした場づくりに貢献できるのです。

 

Q:地域におけるスポーツの在り方について

A:もっと身近に、もっと気軽に

最近はスポーツを観戦するだけでなく、実際に体験する人が増えています。
運動部の厳しい練習のようなものではなく、スポーツは今後ますますエンターテインメント化されて、身近で気軽なものになるでしょう。
国もスポーツ振興に力を入れています。
健康な国民が増えれば、国の医療費負担が減り、私たちの税金の負担も減ります。
そうなれば国民も国も幸せです。
さらに世の中は、スポーツでもうけるといった経済価値中心の思考から、取り巻く環境すべてを活性化させるための一つの要素という思考へシフトしています。
つまり、最も大切にすべきはスポーツから学ぶ教育価値と、スポーツ環境です。
さらに都市やまちづくり、コミュニティといった社会価値、最後に経済価値です。
スポーツを単独ではなく国や都市、ITや環境、教育などトータルで見る視点が必要です。